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2025年11月1日ブログ

夜空に輝く惑星の中でも、ひときわ印象的なのが美しい環を持つ土星です。望遠鏡を覗けばすぐに見つけられるほど特徴的な姿ですが、2025年11月に“その環が消えて見える”という珍しい現象が起こります。
実際に環がなくなるわけではなく、地球から見た角度の関係で、環が殆ど見えなくなってしまう現象です。
これは「環の消失」と呼ばれ、約15年に一度しか起こりません。
土星の環は、星の集まりではなく、氷や岩の粒が土星の重力にとらえられて集まったものです。
太陽の光を反射して、平たい輝く帯のように見えています。けれどもこの環の厚みは、実はわずか数百メートルしかありません。
土星までの距離は約14億キロメートル以上もあるため、地球から見ると非常に薄く、真横を向いたときには、まるで消えたように見えるのです。
土星はおよそ29.5年かけて太陽の周りを一周します。その半分の周期、約15年ごとに地球と太陽が土星の赤道面上に並び、環が横向きになるタイミングが訪れます。前回は2009年、次は2039年に起こる予定で、2025年はその中間にあたります。
今年は3月と5月にも環が見えにくい時期がありましたが、昼間だったため観測は難しい状況でした。
そしていよいよ11月25日頃に3回目のチャンスがやってきます。今回は夜間に観測できるため、一般の方にも見やすい絶好のタイミングです。
四日市市では日没が16時43分、土星の南中は19時21分ごろ。深夜に沈むまでの数時間、ゆっくり観察できます。
但し、望遠鏡は必須です。普段より丸みを帯びた“土星らしくない”姿を楽しむことができるでしょう。
科学館や天文台などで観望会が開かれることもあるので、参加してみるのもおすすめです。
この現象はあくまで“見えなくなる”だけで、土星の環そのものが消えてしまうわけではありません。
ただし最近の研究では、環が少しずつ失われており、約1億年後には完全に消滅する可能性も示唆されています。今の時代に生きる私たちは、まだこの美しい姿を見られる幸運な世代といえるでしょう。
約15年に一度しか訪れない“環のない土星”。この秋、夜空を見上げて、少し不思議なその姿を目に焼き付けてみませんか?